スマホ世代の既読本

「無免許の天才外科医」

左から、手塚治虫「ブラック・ジャック」秋田書店、青山剛昌「名探偵コナン」小学館、藤子・F・不二雄「ドラえもん」小学館

無免許の天才外科医

 自宅の本棚には、書籍よりもマンガのほうが圧倒的に多い。マンガを読むために文字を覚えた気もする。一番初めは「ドラえもん」。のび太くんの悩みを解決する多様なひみつ道具に感激し、私もドラえもんが欲しいと母親にねだった記憶がある。「もしひみつ道具を一つもらえるなら?」という定番の質問に、「4次元ポケット」と答えるかわいげのない子どもだった。

 次は「名探偵コナン」。工藤新一の体が小さくなる第1巻の事件はなかなか残酷で、今思うと5~6歳の子どもが読む内容ではない。しかし、コナンくんが解き明かすトリックの中には、さまざまな豆知識が詰め込まれており、気づかないうちに勉強になっていた。小学校で習ったことの8割は、すでにコナンで学んでいたような感覚さえある。

 現在100巻を超えているが、学生時代までは表紙のイラストだけで、巻数とその巻で起こる事件の内容、犯人、トリックを覚えていた。大人になって記憶力が衰え、今ではほとんど忘れてしまって悲しい。

 その後も、少年マンガを中心に読みあさった。姉妹だったので、男の友情や闘いが描かれる世界が未知すぎて、新鮮だったのかもしれない。マンガはとにかく冊数が多いため、保管場所と金銭的な問題から、全てを集めることは難しく、友人と貸し借りしたり、レンタルショップで借りたりして読んでいた。

 一つ一つについて語り出したらきりがなく、私が偉そうに論ずるのはとても恐れ多い。なのであくまで個人的な意見として、一番かっこいいキャラクターを挙げるとすれば、圧倒的にブラック・ジャックである。あの何ともいえない人間性にとてつもなく引かれた。一匹おおかみのようで意外と知り合いが多かったり、クールに見えるが表情豊かで時にふざけたり、世の中では天才と評されているが自らの腕の無力さを嘆いたり…。とにかく一言では言い表せない。

 理想の男性はブラック・ジャックと言い続けているけれど、まだ出会えてない。これからも諦めず探し続ける予定です。

すみ

すみ

「連載タイトル / スマホ世代の既読本」 大分市・1998年生まれ。小説ならミステリー、漫画なら少年漫画が好き。部屋の本棚は、本が増えるたびに祖父が増築してくれた手作りのもの。映画もアニメも生活の一部で、三つの動画配信サービスに登録する。

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