
私が本を読む理由
年の近い3人姉妹の真ん中に生まれ、何をするにも姉と妹の存在があった。見たい番組はじゃんけん、対戦ゲームは2人まで、遊んでくれる近所のお姉さんは取り合い。思い通りにならないことばかりの中、唯一読書だけは、好きな本を好きなときに満喫できた。
何も知らない子どもに、新しいことを知る楽しさを教えてくれたのが、学校の図書館にあった「学習漫画 世界の伝記シリーズ」。活字ばかりの図書館の中で、数少ない漫画というのが手に取ったきっかけだったように思う。
まだ歴史の授業もなかった小学校低学年の私にとっては、全てが新鮮だった。エジソンを読み、電気のない世界があったことを知り、ナイチンゲールから戦争を、マザー・テレサから貧困を知った。
一通り漫画を読み終えると、巻末にある人生年表を読むようになった。彼らの本名を見てアルファベットを学んだ。出身地がどこにあるか知りたくて地球儀をもらい、自然と地理が分かるようになった。でも何より本で得た知識を親に話したときの、びっくりした反応が楽しかったのだろうと今になって思う。
その経験がずっと根底にある。ページをめくるたびに新しいことが分かるワクワク感。そこから本のとりこになった。
「本が好き」と言うと「今どき珍しいね!」とよく驚かれるが、ユーチューブや動画配信サービスも大好きだ。ゲームの楽しさも、映像の美しさも、ウィキペディアの便利さも十分理解できる。ではなぜわざわざ時間をかけて、文字しかない本を読むのかと聞かれても、非常に答え難い。
何か強いこだわりや目的をもって読書をしているわけではない。成り行きと習慣なので「なんとなく楽しいから」くらい。もし一人っ子だったらゲームに心を動かされ、新聞社ではなく、ゲーム開発会社に入社していたかもしれない。そんな人生も面白そうなので、今度はゲーム会社が舞台の本を読んでみようと思う。